文献レポートは確認しやすいものです。文ごとに番号が付いていて、その番号をたどれば論文に行き着きます。分析レポートはそうではありませんでした。「バイオフィードバック群のストレスは 5.96 点下がった」という文を読めば、その数字が実行中のどこかで出たことはわかります。けれども、どのステップで出たのかを確かめるには、チャットをさかのぼってコードセルを一つずつ開き、5.96 を出力したセルを探す必要がありました。
これからは、分析レポートも文献レポートと同じように確認できます。データ分析・統計・研究デザイン・レビューのレポートでは、文ごとに [n] 引用が付きます。出典は、その主張が実際に拠っているものです。このターンの分析ステップ(ツール呼び出しとその出力)、アップロードしたデータ、サンプルサイズの根拠になった検出力曲線、レビュー対象の文書がこれにあたります。
![アーティファクトパネルの統計レポート。文に [n] 番号が付き、チャットには引用が付いた文の数と、それらが指す分析ステップの数が表示されます。](/blog/citations/report.png)
仕組み
頼み方は変わりません。データ分析や統計のターンが終わると、レポートを開く前に次の三つが行われます。
- このターンのステップが出典になります。 データの読み込み、前提の確認、検定の実行、サンドボックスのコードセル、効果量の推定など、結果を出したステップが出力とともに記録されます。失敗した呼び出しと、ファイルを読んだだけのステップは含まれません。
- 引用の工程で文に番号が付きます。 レポートの各文を、その内容を裏づける出力を出したステップと照合し、そのステップの番号を付けます。効果量について述べた文は効果量のステップを、正規性について述べた文は前提確認のステップを指します。
- 参考文献の節が付きます。 レポートの最後に、番号ごとに出典の種類が分析ステップ、データ、レビュー対象文書のどれかが示され、ステップ名、実行時の引数、出力の冒頭が並びます。
引用が終わると、チャットに短いお知らせが出ます。何文に引用が付いたか、その番号がいくつのステップを指しているかがわかります。
番号を押すとステップが見えます
番号にマウスを重ねると出典カードが開き、クリックするとカードが固定されます。文献レポートでは論文が、分析レポートではステップが表示されます。どのツールが、どのファイルのどの列に対して実行され、何を出力したのかを確認できます。

そのため、「t(78) = −5.506, p < .001」のような文を読みながら、その場で確かめられます。番号を開けば、その t 値を出した出力がそこにあります。

統計レポート以外でも
同じ仕組みは、ほかのレポートにも使われています。
- 研究デザイン。 デザインレポートは、デザイン上の選択の根拠としてこのセッションで読んだ文献を、サンプルサイズの根拠として検出力曲線の計算を引用します。
- レポートレビューと論文査読。 レビューレポートは、レビューした文書(レビュー対象文書)、セッションで読んだ文献、レビュアーがデータで再実行した分析を引用します。
- 文献調査。 ここは変わりません。文は、実際に読んだ論文、特許、ウェブ資料を引用します。
なぜ大事なのか
数字の確認はワンクリックで済みます。 分析を頭の中で組み立て直したり、チャットの中からコードセルを探したりする必要はありません。主張と根拠が同じ場所に並んでいます。
ほかの人もあなたの仕事を確かめられます。 指導教員、共著者、査読者がレポートを開けば、どの文でもその数字を出したステップまでたどれます。あなたがそばで説明する必要はありません。
根拠のない文も隠しません。 分析レポートには、解釈、限界、背景のように、どのステップでも証明できない文があります。こうした文には番号が付きませんが、削除もされません。そのため、どの記述が出力に基づいていて、どの記述がその出力に対するレポートの解釈なのかを見分けて読めます。
これはデフォルトで再現可能で紹介した考え方を、文の単位に広げたものです。すべてのアーティファクトが自分を作ったコードとデータを記録しているように、今はすべての文が根拠となったステップを示します。数字を再計算する独立したレビュアー(すべての分析にセカンドオピニオンが必要な理由)と組み合わせるのもおすすめです。引用は数字がどこから来たかを示し、レビュアーはその数字が正しいかを確かめます。
使い方
データファイルを添付して、やりたい分析をふだんの言葉で頼むか、/stats または /analyze から始めてください。Basic で十分です。
/stats pss_trial.xlsx を使って、バイオフィードバック群と対照群で知覚ストレスの変化(pss_post − pss_pre)に差があるかを検定し、前提を確認したうえで短い結果レポートを書いてください。
ターンが終わったら、アーティファクトパネルでレポートを開きます。番号にマウスを重ねるかクリックすると該当するステップが表示され、いちばん下までスクロールすると参考文献の一覧があります。図の背後にあるコードは、これまでどおりアーティファクトの { } ボタンから確認できます。


